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「バイエルの謎: 日本文化になった教則本 (新潮文庫) 」

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暇つぶしに図書館へ行って、「バイエルの謎」という本が目にとまって読んでみた。
まるで推理小説でも読むかのようにバイエルの謎に迫って行く話で、とても面白く読めた。
NHKかどこかでドキュメンタリー番組にでもしてみたらいいのに、と思う。
 
それにしても、この本を読んで思うのは、人が興味を持たないような事に興味を持つ、というのは、それだけで1つの才能なんだな、という事。「そんなこと、だれかが詳しく調べているだろう」と思うような事が、案外、手つかずであることは多いのだ。
 
バイエルの初版が、たったの200部だったというのも面白いと思った。今なら、同人誌のレベルじゃん。そのせいで、初版本の入手は困難を極める訳だが、そりゃ大変だわ。そんな本が100年後には世界的に有名なピアノ教則本になっていたんだから、解らないもんだな。
 
改めて、バイエルの楽譜を見ていて気がつくのは、当然ながらハ長調とか、せいぜいヘ長調・ト長調ぐらいの曲が多いという事だ。バイエルは1806年〜1863年の人なので、ショパンの生きた時代ともかなり重なる。ピアノの音律が平均律に一本化される以前の時代だ。古典音律では、ハ長調というのは和音の響き重視な調なので、バイエルのような、単旋律っぽい旋律を演奏するのには、不向きなのだ。
 
そして、バイエルが広く普及する歴史と、平均律が普及する歴史が重なっている事に気がつく。バイエルのような初心者向きの、調号の少ない曲で旋律を演奏する場合、古典音律よりも平均律の方が、美しく奏でられるのだ。この事も、少なからず平均律の普及を後押ししたのではないだろうか。大量生産型のピアノを購入する人は、初心者であることが多かっただろうから。

バイエルの生存当時、バイエルが芸術家として低い評価しかされていなかったことも、この事から説明がつくような気がする。有名な作曲家が、古典音律における調性格を意識して作曲した作品を、初心者向けに安易に調号の少ない調に移調して出版する、というようなことを、少なからずやっていたのかもしれない。それは、確かに、どう評価すべきか、意見の分かれる話で、細かいことにこだわる評論家には酷評されたことだろう。
 
内田先生のブログでも無いかとググっていたら、音楽之友社のコラムを見つけた。
https://www.ongakunotomo.co.jp/web_content/bayer_s...
ちょうど、バイエルの併用曲集の一覧と、それが何調だったかがまとめられている。ほとんど調号2つ以下の曲だ。古典音律や調性格に詳しい人から見れば、C,F,Gの調で旋律的な歌曲の楽譜を書いて売る事には、渋い顔をせざるをえなかったはずだ。

 古楽 ピアノ


日付:2019年01月04日

2件のコメント

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このブログ(日記)へのコメント

Shigeru Kan-no

それしか当時訳されなかったのでしょう。ここには無数に教則本はありますが。そのほんの一つがバイヤーです。もちろん誰もやっている人はいません。何でも良いのです。実際にここで目に留まったこと自体がない。要するにあるらしいんだけど音楽図書館でも見たことがない、ぐらいの超マイナー本です。

2019年01月07日 05時27分47秒

小原 なお美

ドレミ楽譜出版社で、マンガ音楽家ストーリー (8) バイエル(新刊入手不可、古本のみ)というのがあるのですが、創作なのだそうです。
この方のことは、ピアノ教則本をつくったくらいしかわからないと巻末にありました。
しかし、こちらの本になにかありそうですね。
読んでみます。

2019年01月12日 12時37分43秒

2件のコメント

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