音楽鑑賞記　怒りますよ編：九尾さんのブログ：Muse クラシック音楽のコミュニティ

九尾さん

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音楽鑑賞記　怒りますよ編

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一方は、頭は良いが自信過剰でやや尊大なおじさま。仕事の話を始めると、とても長く、校長先生の説教のようだ。
もう一方は、お喋り好きでかなり気難しいおばさま。仕事中に少し注意を受けただけでヒステリーを起こすので、接し方には気を遣う。

私の職場にいるこの２人、実はとっても　仲　が　悪　い　。　

第一章・呪われた会議人

キッカケは、半年ほど前、会議室で起こった事件。
私の所属する部署のメンバーが集まっての、小さな会議。その途中、おばさまが何か喋った後、発言がウケたと思ったらしく、一人で笑いながら隣にいるおじさまの肩をポンと叩いた。
おじさまは叩かれた肩を手で払う仕草をし、不快感をあらわにした。それを見たおばさまも不機嫌になって、また肩をポンと…。そして、少し言い争う。

目の前で展開される諍いを眺めながら、私は、自分が小学生の頃、遊びに行った友達の家の牛舎で見た、夏の午後の情景を思い起こしていた。
ブンブンいいながらしつこくたかるアブと、それをペシペシと追い払う牛の尻尾。あれは見ていると面白いものだ。何がと言われても困るが、実に面白い。面白いのではあるが、あまり近付くと危険である。アブに刺されるのも、牛に蹴飛ばされるのも、避けねばならない。

第二章・幼き猛女の注ぐ呪詛の眼差し

そんな事があって、２人がほとんど口を利かなくなったある日。天候は、空気を読んで激しい雷雨。
仕事中、私は突然誰かからの視線を感じて、ふと顔を上げた。すると、前方にいるおばさまの激烈な眼差しが、私の後ろで黙々と仕事をしているおじさまに痛烈に浴びせられている。
その時、私にはハッキリと見えた。おばさまの目から噴き出した赤い光が、輝く光線となっておじさまに一直線に向かっていき、その体にビチバチと衝突している有様が。
私は、おじさまがそれに気付かないようにと、少し移動して赤き光線の通り道を、身を挺して遮断した。すると、おばさまは睨みつけるのを止め、自分の仕事に戻ったのである。やれやれ。

最終章・そして妄想へ…

ある日、私の隣でおじさまと他の同僚が立ち話をしていた。私の所にもその声は聞こえてきたのだが、何と言うことのない世間話である。しかし、それを見たおばさまは、そうは思わない。
きっと自分の悪口を言っているのだわ、間違いない！　

とうとう　妄　想　炸　裂　である。

そのおばさまには、友人がいる。身長より横幅の方に栄養が回っている人物で、仕事は遅いが口は軽い。そして、真実よりもセンセーションを好む性質である。この格好の媒介を得た妄想は、スキャンダルをこよなく愛する人々の間に瞬く間に広がり、やがて上司の耳にも到達した。
さすがに上司も心得ており、おじさまと同僚に気を付けるように忠告しただけで終わったが、以来おじさまとおばさまの冷戦状態は、他者をも巻き込みつつ、より深刻なものへとグレードアップしている。

さて、今回はそんな喧嘩に不可欠な、怒りの感情を思わせる音楽の紹介です。
ソヴィエト時代の作曲家、ポポフの交響曲第一番。

ポポフの交響曲は全部で６曲あり、中でも一番はロシア・アヴァンギャルドの傑作として誉れ高いのですが、しかしこれによって当局に睨まれ、曲は演奏禁止にされた上に、社会主義リアリズム路線への転向を余儀なくされる事態に陥りました。喧嘩した（？）相手が悪すぎたのですな。

曲は、いきなりズドンッと一撃喰らわせる冒頭から、実に強烈。その後、弦楽による切り刻むようなリズムの乱舞と激烈なオケの咆哮が続きます。まるで何か癪に障る事を言われ、怒りがふつふつと込み上げてくるような感じ。金管の叫びはヒステリーでしょうか？
第一楽章の終わり方も、奇妙奇天烈。いったん止まったかと思っても再び蘇る、そんな不気味で不穏な空気が支配した後、息絶えるように終わります。
第二楽章では、ロシアっぽい叙情が聴けて、ちょいと一息。
そして第三楽章、オケが炸裂してます！　輝いています！　やな奴を粉砕して、豪快な勝利の雄叫びでしょうか。

第一楽章
①http://www.youtube.com/watch?v=jpH8H-ZuI0g&feature...
②http://www.youtube.com/watch?v=g76edhaSDtQ&feature...

第二楽章～第三楽章
③http://www.youtube.com/watch?v=LjdJDk6g9kE&feature...
④http://www.youtube.com/watch?v=SeeaiEdCkqc&feature...

さあ、この曲を聴いてストレス発散！　胃の痛くなるのを少しでも改善しよう！！　　

※第６交響曲の祝祭的狂気世界についての拙文は、コチラ↓↓↓
http://www.c-music.jp/index.php/blog/detail/i/0332...
　

　交響曲　作曲家　器楽曲　吹奏楽∩管弦楽器　協奏曲

日付：2012年07月08日

5件のコメント

このブログ（日記）へのコメント

ｕ－

おばさま、大人げないです・・・
お二人の喧噪は第二巻へと続いているのですね。
一度徹底的に喧嘩させるのもありかと。どうなっても知らないですけど。

曲、怖くてクリックできないです。

2012年07月08日 16時24分17秒

九尾

確かに大人げないです。妄想に巻き込まれた同僚はいい迷惑。

曲、怖くてクリックできない…６番の時のトラウマですね。合わない人には合わないからな～。

ショスタコ先生の４番、ポポフ１番に触発されて書いたらしいですよ。そのせいかどちらも３楽章制で、第一楽章が巨大構造物。
ポポフ１番が当局に批判されていたし、ショスタコ先生も批判されていたので、「これはマズイ」と判断して、第４交響曲の初演も中止されたそうです。

2012年07月08日 21時34分24秒

ｕ－

ショスタコ４番を聴いてからクリックしました。
ショスタコ４番はポポフ１番の触発された・・・　と知ってから聴くと、確かに変。（ぃぇ、その…、それっぽいというか）

ポポフ１番、
いやもう解らないです。（脳内でショスタコ４番とシャッフルになってるらしい）

６番のような強烈さは無かったので一安心。

2012年07月10日 20時28分58秒

九尾さんは、ロシアものがお好きなようですね？
ご紹介の曲、今すぐに聴く気にはなれませんが、
いつか思い出した時に聴いてみたくなりそうです。

お話は、私も思い当たるフシはありますよ～
基本的に喧嘩は嫌いですけど、負けず嫌いなので（笑）
でも軋轢って当事者になると、辛いものがありますね。そして、人がやり合っている時は、見て見ぬフリです。

自分の見えている世界が狭すぎるんだーと気がついて、なるべく外に目を向けるようにします。
そういう時、音楽は助けてくれることもありますね！

2012年07月10日 20時31分01秒

九尾

ｕ－さん

６番の方が強烈でしたか？
一応、１番は「演奏禁止」を喰らうほどのアヴァンギャルドな作品、６番は社会主義リアリズム路線の「分かり易い」音楽という事になっているのですが…。やはり独裁者の考える基準はようわかりまへん。

analog_maさん

ロシア物も含め、近代のオーケストラ曲に好きなものが多いです。もちろん古典も室内楽も聴きますけど。

「人がやり合っている時は、見て見ぬフリ」…その方が良いですよ。
私もここで、何度か他のユーザー同士の諍い（すでに退会＆幽霊化している方々）に口出しした事があります。感謝された事もありましたが、今では、関わらなければ良かった～、と思っています。
無関係な方にまで心配掛けてしまいますからね。

2012年07月10日 22時39分40秒

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