Rosary＆音♪さんのブログ（日記）〜クラシック音楽の総合コミュニティサイト Muse〜

ああ、今日電車の中で、私のアシェンバハは死んじゃった。
「。。。すばらしい文章を書くということは虚偽でありあほうのする業なのだし、われわれの名声と輝かしい身分とは茶番にすぎないのだし、われわれにたいする世間の信頼は世の中で最も滑稽なものなのだ。。。」
「。。。そこに座っていたのは、われらの巨匠、声望ゆるぐことのなき芸術家、哀れな人間の作者、。。。」
「。。。椅子によって。。。息の絶えた男を救いに人々が駆けつけたのは、それ数分後の事だった。そしてもうその日のうちに、アッシェンバッハの死が広く報道されて、人々は驚きつつも恭しくその死を悼んだ。」

ものの腐った香りのする、生暖かいシロッコの吹く、道徳的弛緩に陥った。。。消毒される病んだヴェニス、ゴンドラのオールが韻を踏むように、心に響き、海辺の輝きのもと遊ぶ、青白く美しい少年は並波のきらめきのよう、お世辞上手で、うさん臭いヴェニス、黒い死体の螺旋菌のヴェニス、放埒に燃えた巨匠は、向こうの、世界の果てに薔薇の花が撒かれ始め、光陽は燃える炎となる、うっとうしく燃えるヴェニスの太陽のもと、美しく腐ってお亡くなりになった。
あぁ、ヴェニスに死すっていいわね！

　ピアノ　ソプラノ　チェンバロ