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演奏しながらヘッドフォンで聞く。
これはなかなか心地良い物だ。
夜中に１人で思う存分演奏して楽しむにはこれほど素晴らしいものはない。
そしてなにより、ずいぶん上手になったような気になる。
が、実はこれは電子回路がそう聞かせるマジックにまんまとかかっているということだ。
詳しい事はよく知らないが、実際の楽器の音をたくさん集めて、鍵盤を押さえるのと同じ音色を聞かせるサンプリングというものらしい。
それは例えて言えば、料理を作るのに本だしを使っているようなことだ。あるいはレトルトや冷凍食品もしかり。
それに対してナマＰの音は昆布と鰹から出汁を取るようなもの。違いは歴然としているが出来上がった味について言えば、素人料理の場合本だしを使った方がはるかに美味しいものが出来る。
昆布と鰹を使って美味しい出汁を出すにはかなりの訓練と経験が必要な、プロの技。
だから、素人なら電子ピアノをヘッドフォンつきで演奏するほうが上手に聞こえる。
それを知らずに電子ピアノで一生懸命練習しても、レッスンでナマＰを演奏するととたんにヘタになった気がする。
さらに耳元で聞こえる音に慣れると、実際の楽器から出る音の広がり感に戸惑ってしまう。
演奏し始めて、何かが違うと感じるともうそれでアタマはパニック。いつもは楽に弾ける所さえミスってさらに大焦り。
この２年半ほどの間にやっとそういう違いがわかるようになった。
ピアノ 現代音楽 吹奏楽∩管弦楽器 協奏曲 作曲家