Shigeru Kan-noさん
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186. 3月27日
12時半からの公開のプローべはブラームスの2番から抜粋と書かれていて夜も聴かされるので残念と思って失望していたが、急遽ベートーヴェンの4番全曲になって退屈さが少しはしのげた。折からの交通ストで司会者が我々の今日も真面目にキをしません、という半分冗談で観客から拍手喝采をもらう。事実旧日本フィルはそれで潰れ、プロはどこでも薄給で我慢しなければならない芸術の世界がそこにある。来週のケルン放送響の演奏小旅行と称してバルト三国を回るらしいのであるが、FMの予告ではスペインも回るとかで、日本と同じようなポピュラーなプログラムが組まれていて、このような決まりきったプログラムのほかに今晩生放送するラフマニノフの第二ピアノ協奏曲が入るのは当然のことだろう。どのプログラムも現地で散々定期などでやったのを持っていくのが常であるが、ベートーヴェン・ブラームス・ラフマニノフといと決まりきり過ぎるので弾くほうも聞くほうもうんざりなのは確かである。
ましてただのデモンストレーションとなると実力があっても腐れ縁的にうんざりするのも当たり前である。それが原因かまたは日の本番の練習を始めたのかは知らないけれども、アンサンブルの不揃いはすぐに目に見えてきた。どこのプロオケでもこれぐらいはできるといった程度。何ぼ隠しても小さなミスは隠しきれない。汚い
サラステは遅い部分と早い部分の差があんまり無いピリオド的なテンポ設定だが、ヴィブラートは普通に付けるも何時もの読み込みすぎた表紙のないボロボロの汚い楽譜で古い通常版を使っている。特にバランスが変なわけでもないがクライマックスにすべてを集めるといったカルロス・クライバーのような方法は取らないであくまでも北欧の冷たい冷静でも曲には乗るフィンランド楽派の行き方であるが、ここでトランペットをトスカニーニ風に強奏した飛び出す表現ではないのでここでサロネンと大きな差がついてしまう。
ということで夜のブラームスの2番はまだ生で聞いていないので救われたがやはり癖がついてしまったのか細かいところが乱れている。この曲は誰でもできるので舐めてかかるとクライバーのウィーンフィルの本番のようにホルンあたりから音が綻びて来る。日本のオケだとまずは潰れるがWDRのようにヴァントやベルティーニのような公共放送による生涯の生活保障という伝統に支えられているとまずは粗を突かれることは無い。これがアメリカのメジャーやブダペストフィスティヴァル・オケのように楽員全員が1年契約や2年契約になると演奏能力が格段に良くなる。奏者には公務員のような安定した生活は保障できないが、売れるために演奏の質を向上するにはそれしかないのである。
喉の痛みで風邪を引いているので何時もガルデローベに置いてある飴を2個取って聴いたが案の定咳が出なくなった。どこかのお菓子会社の寄付らしい。そういえばウィーンのコンツェルトハウスにも何時も置いてあった。ブラ2の曲は無事に終了したがアンコールがあった。メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」からスケルツォ。こちらのほうがアンサンブルは遥かに整っていた。全部終了後、ロビーで恒例のケルッチュのビールが無料で振舞われていた。いくら飲んでもかまわないが何時も1杯だけで止めておく。帰りは汽車が無くて車も無くて最後は真っ暗な山の坂道5kmを歩いた。
作曲家 指揮者 ピアノ 現代音楽 オペラ∩声楽曲