Shigeru Kan-noさんのブログ（日記）〜クラシック音楽の総合コミュニティサイト Muse〜

http://www.hofgartenorchester.de/9-Willkommen
05. Juli 2015: 17 Uhr in der Evangelischen Trinitatiskirche, Endenich
08. Juli 2015: 20 Uhr in der Aula der Waldorfschule, St. Augustin-Hangelar
Programm:
Modest Mussorgsky: Eine Nacht auf dem kahlen Berge
Johannes Brahms: Violinkonzert D-Dur
Modest Mussorgsky: Bilder einer Ausstellung (Orchestrierung von Maurice Ravel)


ボン大学の最下位のオケとされる一番歴史の新しいオケの定期演奏会。音楽学の講座には入っていないので一種の自主運営らしい。元の練習場は大学の大講義室使っていたらしいが、今はそこから出てエンデニヒのプロテスタント教会を使っているらしい。

ここの指揮者にはギャラがなく、団費だけ徴収しない条件なので結局は能力に関係無くノンプロの金持ちのおっさんしか頼めない。ドイツの大学オケはほとんどがそうである。指揮科の学生指揮も取れるがとにかくギャラなしの条件は動かない。学生も能力では無く財政に余裕がないとそういう経験からはみ出される結果となるが、今回もそう言う感じだった、確かに丁寧だが音楽的面白さは全くない。もちろん技術的な問題はここでは考えない。それどころかアマチュアはソロになると格段に弱いのでこの件だけをやり玉にあげてまともに論じるべきでも無い。

それでもアマオケの価値は十分にある。特に大学以下の青少年オケ。この中から主に将来音大に入学しプロオケやソリストになる人が出て来る。しかしそれ以外の団員は皆使う捨てかというとそうではない。少なくとも良い聴衆には事欠かない。

結局にはエル・システマのように犯罪・非行を防止し学力を上げる働きを担う。なぜクラシック音楽でも吹奏楽や合唱でもないのか？それは鑑賞並びに技術的にも非常に難しいからである。特にフレットの無い弦楽器はその都度音の正確な高さまで瞬時に合わせて他の声部とハーモニーを作る労力と楽しみが同時に科せられる。ふざけていたり怠けていたりしては絶対できない作業なのだ。ちょっと笑っただけでもトランペットの音などがまともに出ることはないのでその人の人格がそのまま音に反映させる化け物である。音が完全にあったときにそれはユニゾンでもハーモニーでも性別や肉体とは全く関係無い人間愛が生まれてくる。これが犯罪防止策に繋がる。絶対的な集中力が要求されるからちっとでも暴れたら高価な楽器がすぐに台無しになるのだ！こういう作業は宗教にも学問にもない貴重な経験である。管楽器なんかは一人でも欠けたら曲としては発表できない真面目な生活も求められる。これが人間作りの基礎となりうるのであろう。それを日本的な娯楽では無くて立派な人間教育の「仕事」の一環としたところが人智学教育の偉いところである。昔シュトットガルトのシュタイナー学校で「未完成交響曲」、同じ曲をギリシャのヘレニコン・イディリロンに客演したフランブルクのヴァルドルフ学校で聴いたことがある。音楽のできは楽器が足りないし全くであるが人間教育の観点から見ると非常に成功していると言うざるを得ない。

会場のサンクト・アウグスティンのシュタイナー学校はどこでもお金がかかっても学校オケを持っているのが普通だ！そういう人間教育をいち早く発見したのが人智学による初等教育である。しかしその音楽の質は問わなくとも弾けなければまたは合わなければちっとも全然面白くはないだろう。従って自然と真面目にやって上手くなろうとするはずだ！従ってヴァルドルフ学校は必ず演奏できる行動を持っていた良く外部のオケなどにも会場を貸す。ケルン放送響はヴィッテンなどで公開で現代音楽の録音に使っていて、それが毎年必ずCDになって市販しているくらいである。

したがって日本人のこう言う贅沢な音楽は金持ちの娯楽であるとアニマル的な考え方は全くの誤りである。何時ものように漫画や演歌・ロック・書道などとごっちゃにされるととても困るのだかが、政府の日本会議には今も昔もそう言う芸術家の人材は全く存在しない。確かにこういうオルガニゼーションは金持ちが多い。しかしヴェネズエラやコンゴではヴァイオリンからみんな手作りでやっている。こう考えてくると日本全体の痛みすぎた教育の解決法はすぐ目の前にぶら下がっていると思えて仕方がない。世の中で最も難しい問題はDNA＝遺伝子のように実は非常に簡単な解決法で済むという哲学である。

こういう作業は演奏が簡単な吹奏楽や混声合唱では全く不十分でやはり高度な技術を要する弦楽器主体のオーケストラに限られる。

このホッホガルテン・オケも案の定金が全くなくて何時も潰れる寸前だが聴衆の少額の寄付によって生き延びて来ているらしい。パート譜もコピーだがパブロック・ドメインならばいいであろう。お金の心配がないオーケストラを見つけるのはアマでもプロでも非常に珍しいくらいである。何時ものように管・特に金管楽器が足りなくて200ユーロ以下のギャラで音大からトラで借りて来るが、最高でも2・3回の練習なので相当揃っていない。酷い奴になるとゲネプロからというものいる。

このオケもリムスキー・コルサコフ編曲『禿山の一夜』は出来が悪く音が合わない。次のヴァイオリン協奏曲ではあまりいソリストを頼めないらしい。でもやっただけは偉い。最後の「展覧会の絵」はパワーが必要な曲。アンコールは「フィンランディア」。他の大学オケと同じ様に徐々に音が良くなっていく。

最後に言うと大学オケも学校教育のオケも任意であるということである。強制力がないだけ生徒の自主的なやる気の行動が促進されると言う意味がある。

　作曲家　指揮者　ピアノ　現代音楽　オペラ∩声楽曲