Az猫ロメさんのブログ(日記)〜クラシック音楽の総合コミュニティサイト Muse〜

Museでクラシック音楽を通じて素敵な出会いを

Password


次回から自動的にログインする。

« 200910月 »

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17

18

19

20

21

22

23

24

25

26

27

28

29

30

31

月別ブログ(日記)一覧

カラヤン演出「メトの《指輪》」

前の日記(ブログ)                         次の日記(ブログ)

 世界的超一流のオペラ歌手には「頭のネジがいささか(実は相当)曲がっている」人が多い、という言葉を残しているのは、前メト総支配人のヴォルビー氏である。

 ことの真相はさておき、ビルギット・二ルソンの自伝は結構「楽しげ」である。決して「美形」とは思えないが、「ユーモア」のセンスは「タモリ」とか「伸介」並みである。(どちらも、美男子ではないが・・・と云う意味で)

 さて、カラヤンは旧ナチ党員だったということで、メトに招かれることはなかった。しかし、彼はザルツブルグ音楽祭と同様の《指輪》をプロデュースすることで、アメリカの大都市を征服しようと思ったらしい。
 これに、当時のメトの総支配人ルドルフ・ビングが興味をもった。私(ニルソン)はカラヤンの《指輪》ウィーン公演の際の延々とした照明リハーサルにつきあわされたことに辟易していたので、ブリュンヒルデ役につくことをお断りした。
 しかし、ビングは一枚上手であった。ある日、ビングはカラヤンとの契約書を持って私の楽屋をおとずれ、「ただ、一言、イエスかノーか?ノーと言うなら、カラヤンとの契約を破棄します」と言った。
 メトでの《指輪》の公演は久しく途絶えていた。カラヤンのプロデュースとはいえ、これを私の責任で反古にすることは、流石に躊躇された。私は良心の呵責に苛まれ、結局、「いつものようにビングが勝利した。」
 しかし、何ゆえに私が嫌がっていたのかの理由をビング氏も理解できるようになった・・・。

「カラヤンが現れるや、さっそくリハーサルは大混乱に陥った。いつも厳守されていた決定事項はたちまちひっくりかえされ、各自のリハーサルがいつ来るのか分らない日々が続いた。・・・私は《トスカ》にも出演することになっていたので、(これ幸いに)リハーサルを欠席せざるを得なくなることが「度々あった。」
 
 『カラヤンは舞台をいくら暗くしても足りないらしく、ほとんどの時間を所謂、照明リハーサルに費やした。ビングは、それに何か意味があるのかを確かめようとホールに通ったが、結局、頭を振りながら外に出てくると、「私は数秒であの暗さにしてみせる。メイン・スイッチを切ればいい!」』

 プレミエ当日、私が楽屋に入ると、化粧台に大きな小包が置いてあった。中には、本物の炭坑用ヘルメットが入っていた。前面に赤ランプ、両面には反射ランプ、おまけにワルキューレのヘルメットであることを示すために二つの小さな羽飾りまでついていた。「これを被って舞台にあがるべし。真っ暗な舞台からの墜落にご注意。」ということか!

 送り主は不明であったが、メトの関係者たちは一同、誰の仕業かに大層興味を持ったようだった。第一幕の終わり後の休憩のときに、カラヤンも興味を持ったらしく、私のところにやってきて、「誰からの贈り物だろう」と聞いた。
 私は言ってやった。「わかりません。でも上の方たちが一枚かんでいるかも知れませんね」と。カラヤンはそれを聞くと、ブツブツと言いながら姿を消した。
 (「炭鉱用」ワルキューレ・ヘルメット姿のニルソンの姿をお見せできないのが残念!)

 ビングは晩年、その文化的功績によってエリザベス女王から貴族の称号を送られた。彼は、私がニューヨークへ戻って来るたびに、大げさな身振りでうやうやしくひざをついて出迎えてくれるようになった。
 ある時、私は
『エリザベス女王のために練習してきたかいがあって、ずいぶん上手になりましたね』と冷やかした。

 ピアノ オペラ∩声楽曲


日付:2009年10月19日

7件のコメント

  1

このブログ(日記)へのコメント

Shigeru Kan-no

メトはカミの前庭ですからね。カラヤンがあそこでやっても本当は不思議ではなかったといえるでしょう。カラヤンの振ったメトの音などがあったら良いですねえ。

20数年年前にはまだWienには「ワルキューレ」や「トロヴァトーレ」などカラヤン時代の暗い演出が残っていましたが、何演出させても暗かったですね。証明なんか全然要らないような舞台でしたね。舞台が見えないのでピットばっかり見ていました(笑)。

2009年10月19日 16時38分13秒

Az猫ロメ

ビルギット・二ルソンの自伝を読んでいると、オペラを「音楽」としてのみ鑑賞することは「過ち」であることに気づかされます。
 私も「ふところ」に余裕があれば・・・、と思うのですが、それはそれで、グラマラスな美形歌手に目が移り「音楽不在」に陥ってしまうであろうと「負け惜しむ」。

 ニルソンによると、カラヤンは「トリスタン」ではシンフォニックな演出をすることに傾き、「歌手は演奏会形式の公演の添え物程度の扱いだった。大音響を響かせては、歌手の声を吹き飛ばすことを何とも思わなかった」と。
 彼女が最も尊敬したワーグナー指揮者クナッパーツブッシュは、「どうして暗譜で振らないのか」と尋ねられて、「私は楽譜が読めますから」と答えたというエピソードを引き合いに出しながら、ワーグナーオペラは延々と続く舞台のなかで、歌手は山ほど覚えなくてはならないことがあるので、楽譜をしっかり見て歌手のリードをして欲しい場面がいくつもあると書いている。
 
 「もっとも」なお話しです。ミュージカルの演出家の宮本亜門氏が二期会のオペラを演出した際に、歌手をやたら舞台上で走りまわらせる「工夫」を導入したそうです。ある歌い手は「とてもやりづらい」と話していましたね。オペラはスタッフの皆さんの共同作業でもあるのですねー。カラヤンはメトには「不向きな」指揮者だったでしょう。

2009年10月20日 11時05分20秒

Shigeru Kan-no

まあ女性は見栄えにこだわりますからねえ。もちろん音楽だけオペラに追求すると確かに辛いですね。でもオペラを覚えてしまいますと音楽だけでも充分に鑑賞にあたりしますよ。しかしそこまで行くのが大変でしょう。もちろん僕も何回も生などに行きました。それがなかったら挫折していましたね。でも今では特に舞台上演ではなくとも演奏会形式でも良く行きます。音楽を知っていると苦にならないのですね。

カラヤンはちゃんと覚えてもいないのに無理に暗譜で振るから歌手へのキューイングが正確に出せないのですね。歴代の歌手はみな怖いとインタビューにありますね。でもその後効果的に売り込んでくれるからみんな黙って従がったようです。今の指揮者はみんな楽譜を見ています。Wienの最後の指揮者は小澤さんかな?でも大野君や神岡君も暗譜でやりますね。代替で何か起こったときの処理に楽譜は役に立ちます。

最近の演出は歌手をどんどん動かしますよ。もうそれ以上のアイディアがないのでしょう。演出もどんどん行き詰まっていきますね。

2009年10月20日 16時43分39秒

Az猫ロメ

「代替で何か起こったときの処理に楽譜は役に立ちます。」
 ニルソンの自伝の中では《トリスタン》第二幕での「永遠に、永遠に」と繰り返す「愛の二重唱」のシーンで、完全に忘我状態に陥ったトリスタン役のヴィントガッセンが突然、どこを歌っているかを忘れてしまい、つられてニルソンも「完全に脈絡を失ってしまった」と回想しています。

 『それは永遠に続くように思われるほど・・・二人は口を開けなかった。私はまもなくハイBで歌い始めることになっていたから、立ちすくんだまま指揮者をじっと見据えた。すると彼は(当時35歳の新進指揮者W.サヴァリッシュ)、さっと手を上げで正確な歌い出しの合図をしてくれたのだ。ようやく高音の「永遠に」を歌い、その夜は救われた』

 蛇足のようかもしれないですが、ニルソンはあのトスカニーニ指揮のバイロイト公演の同じシーンでのトラブルについて書いています。

 『ナンニ・ラシェーン−トドセンとラウリッツ・メルヒオールは・・・二人はこのいまいましい、ニ重唱で迷ってしまい、トドセンは指揮者に向かって両腕を突き出し、助けを求めたが、トスカニーニは髪の毛をかきむしり絶望のあまり涙を流していた。彼は暗譜で指揮していたために、この恐ろしい急場を救えず、その幕は混乱のうちに終わったそうだ』と。

 「カラヤン帝国始末記」にも、ヒトラー隣席の『マイスター』で、酒に酔ったザックス役の失策を暗譜で指揮していたカラヤンが事態の収拾に失敗し、以後、ヒトラーの前で指揮することを許されなかったといったようなことが書かれていたようです。(本当かなー?)
 
 オペラは、歌い手・指揮者・舞台演出家等々の皆さんの共同作業のようです。(当たり前のことかも知れませんが、私なぞはニルソンの自伝を読んで、初めて実情を知ることになりました。)

2009年10月22日 09時47分11秒

Shigeru Kan-no

最近出てきたカラヤンのバイロイトなどの実況録音のCDなどを聴くと一目瞭然です。他の指揮者もズレはありますがこんなに酷くはないし頻繁でもありません。カラヤンの指揮は良く歌手が一小節以上も遅れたり早く出たりしていますね。めちゃくちゃです。それで戦後のリングが続かなかったのでしょう。これで止まらなかったのが奇跡のようで危険極まりないです。要するに生暗譜ですから、どこのどこで歌手がきちんと出るかを完全暗譜していないので肝心で明確なアインザッツを出せないのですね。

2009年10月22日 17時06分26秒

Az猫ロメ

「要するに生暗譜ですから、どこのどこで歌手がきちんと出るかを完全暗譜していないので肝心で明確なアインザッツを出せないのですね。」

 これが分るということは、プロは別として、カラヤンの『ドン・ジョバンニ』や『ラ・ボエーム』のCDをよく聞いていた私などは「ショックを隠せません。」

 それは別として、女神・マリア=カラスをどのように「評価」されますか。ご自身で取り上げたい古典的演目ではどの役を割り振るのでしょう。また、自作のオペラでも出演を「畏れ多くも」要請されるでしょうか。(札束の問題は別として)

2009年10月23日 13時19分58秒

Shigeru Kan-no

カラヤンのオペラをスコアを見ながら聴くと一目瞭然ですよ。恐ろしいくらいめちゃくちゃです。

カラスはあの声のために自分の腹にサナダ虫買っていたのでしょう。自分の肉体をすり減らしてまで札束に変えていって女性ですね。要はそこまですべすべきかですね。50歳ぐらいの生涯だったのでしょう。

2009年10月23日 16時20分20秒

7件のコメント

  1

トラックバック

このブログのトラックバック Ping-URL :
http://www.c-music.jp/tbblog.php?id=10565


登録して素敵な出会いを見つけよう!

Museカテゴリー

フリーワード検索

新規ブログ(日記)

クラシッ
ク音楽関
連の映画
(覚・・・

私のおすすめ未完成交響楽(1・・・(小原 なお美さん)


K-462.
東京ベー
トーヴ・・

東京カルテットが解散してから・・・(Shigeru Kan-noさん)


ダイエッ
ト講座そ
の21

 ダイエットの本をたまに読み・・・(小原 なお美さん)


新規会員

りょうさ
んさん

趣味は植物に癒されることです・・・


Ito_orc
さん

ピアノ20年ほど習ってました・・・


ミルキー
さん

自分では楽器は演奏でません。・・・


公開マイスペース

足跡帳
足跡帳を作成しました。どなた・・・(りょうさんさん)


ヨハン
シュトラ
ウス生誕
20・・・

今年は大阪府岸和田市のコンサ・・・(Mariaさん)


10/28tue
.コンセ
ール・・・

Concert Rivi&#・・・(Nobue Kanekawaさん)