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ベートーベン 悲愴 第2楽章をYoutubeにUPしました。
https://www.youtube.com/watch?v=WNKIwWwIMWY
変イ長調というのは古典音律では比較的使いにくい調で、どの音律もいまいちしっくり来ません。強いて言えば、スタンホープが比較的無難に聴こえます。
ただ、問題点ばかりというわけでもなく、上手く合う所もあります。これらを一通り聴いた後で平均律を聴き直すと、平均律もまた、少々おかしな響きのする音律であることに気が付くかもしれません。
そんな具合で、実際の演奏に応用できる要素はあまり多くは有りませんが、ベートーベンがモーツァルトやハイドンの世代から何を受け継ぎ、どんな新しい事をしたのか、というような事を考察する上では、このような試みも役に立つだろうと思います。
モーツァルトやハイドンは、一般に中全音律の欠点とされるような特徴も、逆手にとってうまく利用する、というようなことを、ちょいちょいやっていますが、ベートーベンの場合はあまりそういう事はやってなくて、代わりにキルンベルガー音律のような、黒鍵を純正5度で合わせる音律の特徴を上手く活かしているように思われます。音律が持っている雰囲気と、曲の雰囲気が、よく合うんですね。
ベートーベンは若い頃はモーツァルトのファンでしたし、ハイドンの弟子だった時代もありましたが、その割には、作品から受ける印象は、モーツァルトやハイドンとは大きく異なります。この、悲愴 第2楽章は特に、モーツァルトの ピアノソナタ第14番 第2楽章の第2エピソード によく似たフレーズがあることが知られていますが、そんな曲でさえ、「悲愴」全体からうける印象はまったくモーツァルトっぽくはなく、ベートーベンのイメージでしかありません。
参考記事:
http://www.worldfolksong.com/classical/mozart/pian...
この差がどこから生まれたのか。それがベートーベンの個性だったのだ、と言ってしまえばそれまでですが、実は「使用した音律の違い」が、その大きな要因の1つだった可能性があると私は考えています。
普段、何気なく使っている音律は、それほど大きく、作曲家のインスピレーションに影響を与える場合がありえるのです。
古楽 ピアノ