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先週は人前で弾く機会が2度あった。日曜日に弾いたラヴェルのピアノトリオは3人とも大変な練習量が必要だったし、本番でも極度の集中力を要する難曲だった。私が弾きたいと思うピアノトリオで、これより難しい曲はないと思う。もう、二度と弾くことは無いだろう。
これで、2ヶ月ほど本番はないので、昨日はゆっくり、ベートーヴェンのチェロソナタ4番op.102-1の2楽章序奏の難しい重音の音程練習をやっていた。すると、変な高周波の雑音が入る。こういうときはだいたい、表板か裏板のはがれだ。表板の縁回りを中指のPIP関節(指先から二つ目の曲がるところをこうよぶ)でコンコン叩いて回ったら、やっぱり表板の一部がはがれていた。
このチェロは、しんどい本番が終わるとはがれる癖がある。この春も、こちらの先生の大人の生徒のおさらい会と、カンタータの本番が続いた翌日、表板の別の場所がはがれた。去年の秋も本番の翌日、裏板の一部がはがれた。
作りが悪いといわれればその通りなのだが、本番では、普段と違う力で弾いているのか、楽器も普段よりがんばって疲れるのか、壊れかけても本番が終わるまでは耐えてくれているのか、よくわからないが、非常に不思議だ。深く愛されている道具は、決して持ち主を裏切らない、というのが私の信念だが、このチェロもそうだ。演奏会場で本番直前に壊れたりされたら非常に困ると思うが、そういうことはしない、良い子なのだ。
以前ははがれるたびに師匠の店に持って行き、修理して貰っていたが、考えてみれば、大して難しい作業ではない。
これを作ったときは師匠の工房でやってもらったので、チェロ用の表板、裏板を固定するクランプは作らなかった。それで、去年はがれたとき、長めのボルトとナットを買ってきて、ヴィオラ用に作ったクランプの当て板(適当な板にコルクを貼って穴を開けたもの)をセットしてチェロ用のクランプを作った。油絵に使う薄い金属製のペインティングナイフではがれたところに膠(ニカワ)を入れ、クランプをかければ一晩で修理完了だ。
チェロ ピアノ