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フーガの技法BWV1080

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 私が1年生の時、クラシックの室内楽を演奏する同好会が高校に発生した。私も誘われたのだが、1年生の時は軟式テニス部に入っていたし、高校が学園紛争で、バリケードが作られたり機動隊が入ったりして、登校禁止が続き、新しい同好会の情報も入ってこなかったので放って置いた。2年になって強力に勧誘され、芽が出なかった軟式テニス部をやめて、こちらに入った。高校の名前の二字○×を取って、○×フィルハーモニーという名称だったが、この名称は、最初にこの同好会を立ち上げたメンバーのジョークだった。だって全部で10人もいなかったし、楽器も、オルガンオーボエクラリネットフルートヴァイオリンピアノとかいう脈絡のない編成だった。これでフィルハーモニーとは笑わせる。この同好会はその後、私が卒業して大分経ってから高校公認の部となり、本当にフルオーケストラとなり、今なお存続しているどころか、OBオーケストラまで活動しているらしい。
 2年生で私が入るのと同時に1年生が数人入り、ちょっと合奏らしくなった。この中にはヴァイオリンが4人もいて、みんなかなりの手練れだった。4人ともその後首都圏の有名大学オーケストラのコンサートマスターになったくらいだ。
 それでも妙な編成に替わりはなく、みんな自分の弾きたい曲のパート譜を手書きしては、人を集めて合奏していた。高校生のくせにマニアックな知識を誇るやつが多く、いろいろな曲を弾いた。この中で強く惹かれたのがバッハの「フーガの技法」だった。

 この曲はバッハ最晩年の作品で、フーガの名手であったバッハが、当時の世間の流行に完全に背を向け、自分のフーガ作曲技術を駆使して書いたものだ。単一のテーマを使った、14曲のフーガと4曲のカノンが並んでいる。そして、最後の14番目のフーガの第三主題はバッハの名前による、つまり、b-a-c-h という旋律!そして、楽譜は途中で中断して、未完のままだ。
 高校生の時、クラリネットの男が持ってきたのはこの曲の最初のフーガだったが、非常に魅力的だった。たしか、ヴァイオリンフルートクラリネット、チェロという編成だった。この曲には、楽器指定がないので、どんな編成でやっても良いから、編曲ものじゃない!とクラリネット男は胸を張ったが、ちょっと理屈に無理がある。
 私はそれまで、この曲を知らなかったが、インヴェンション、シンフォニア、平均律クラヴィア曲集を通じてバッハのフーガには強い愛着を持っていた。でも、この、均整が取れて格調高いフーガは、特別に好きだった。
 今でも大好きで、その後何十年もして、父が入院中の病院で、カミさんと息子たちとで弦楽四重奏で最後に演奏会をやったとき、オープニングにこれを演奏したが、とても好評だった。

 高校生の時すっかり気に入って、ペータースから出ていた、ピアノ用の楽譜を買い、ピアノで練習したり、自分で別のパート譜を書いて合奏したりした。ブラームスのチェロとピアノのためのソナタ第1番ホ短調作品38の終楽章と全く同じ旋律が出てきてびっくりしたが、もちろん、ブラームスがバッハから旋律を拝借したのだ。
 どの曲も素晴らしいのだが、やはり、最後の未完のフーガはすばらしい。全曲を統一する例の4分音符のテーマで始まり、細かい八分音符による長い2番目のテーマ(これも素晴らしい)が現れ、さまざまに扱われたあと静かになったところでバッハの名前によるテーマが響く。バッハって名前からして素晴らしい旋律なんだ。そして、何の予告もなく、途中で中断して終わる。
 この中断のあとを作曲して、終止にまで持って行った音楽学者はたくさんいて、そうやって演奏する人もいるけれど、ぶちっと中断してしまう方がずっと好きだ。

 この曲は楽器指定がないから、いろいろな編成で弾かれる。管楽器を入れた方が、声部が聞きわけやすいので、最初は魅力を感じた。弦楽四重奏も良い。最近買った、古典四重奏団の演奏は、ストイックで大好きだ。ピアノも名手ならすばらしい。

 昨夜、友人が貸してくれたグールドのVHSを見ていた。グールドがピアノの前で音楽学者?と対談している。楽譜など一冊もない。バッハのフーガの分析などをグールドがしゃべるのだが、なんとかの何番のフーガのどこそこがどうした、と言いながら暗譜でどんどん弾いていく。弾きながら楽曲分析をしゃべる。合間にはあちこちの声部を、例の調子で大声で歌う。どれも素晴らしい。
 最後にフーガの技法から3曲弾いたが、その最後はもちろん、最終曲の未完のフーガだ。本当に魅力的な演奏だったが、最後の弾き方もよかった。最後の単音を弾くやいなや、凄い勢いで鍵盤から指を離陸させた。ここで作曲家はあの世に旅立っていった、という伝承を示すようだった。
 

 チェロ ピアノ


日付:2007年10月01日


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