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バッハはどんな音律を使っていたか、についての考察

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バッハ、音律、とくれば、平均律クラヴィーア曲集については多数の考察がなされていますけれども、それ以外の曲についてはどう考えたらよいでしょうか。
 
言い伝えられている話として注目される事がいくつかあります。
 
・バッハは自分自身で自分の所有している楽器の調律を行っていた。当時はまだ現在のような「調律師」という仕事は無かった。楽器製作者が身近に居れば依頼できたかもしれないが、調律まで音楽家自身でやるのが、むしろ普通だったようだ。 

・バッハは、だれもが驚くほど手早く短時間で調律を済ませるほどの調律の腕前があった。
 
「バッハが12等分平均律を使っていた可能性がある」と主張する人もいるのだけれども、それは、この「だれもが驚くほど手早く短時間で調律を済ませる」という話と矛盾します。原理的に、12等分平均律を、そんな手早く済ませる事は無理です。また、同じ理由で、それが中全音律だった可能性も低いと私は見ています。調律に十分な時間がかけられるときは中全音律も使ったはずですが、多忙だった時のバッハは、もっと簡単な手順で済む音律を使ったと考えた方が自然です。
 
これに関して、重要なヒントを与えてくれるのがキルンベルガーの音律で、特にその第1法は、とてもシンプルで単純です。これ以上簡単な音律と言えば、もはやピタゴラス音律しかありません。
 
キルンベルガーはバッハの弟子だったこともあるという人ですから、もしバッハが頑なに中全音律ばかりをこだわって使っていたなら、弟子が第1法として発表した音律がこのようなシンプルなものであるという事は不自然なのです。バッハもキルンベルガー第1法と似たような音律を使っていた可能性がある、と見るべきではないでしょうか。
 
「バッハが驚くほど短時間で調律を済ませる事が出来た」という理由が、「その音律がキルンベルガー第1法のようなシンプルなものだったから」であったとするならば、謎が1つ解けます。
 
また、バッハは熱心なキリスト教信者でもありましたから、三位一体を表す和音が純正になるキルンベルガー第1法は、宗教音楽のためには中全音律よりもむしろ理想的です。中全音律は5度の響きを妥協していますから、その点ではキルンベルガー第1法より中全音律の方が格下であるということができます。わざわざ手間がかかって格下の中全音律を積極的に好んで使う理由は無かったのです。ただし、教会の巨大なパイプオルガンのように簡単に調律の修正が出来ない楽器となると話は別で、そのような場合はなるべく多くの楽曲に対応するために、「妥協して」中全音律も使ったのです。
 
ただ、キルンベルガーは、「第1法をバッハが使っていた」とは言っていません。おそらく何かが違うのです。それは何かという事ですが、バッハはおそらくヴォルフの位置を固定せず、楽曲に合わせて適宜ヴォルフの位置を変更するように調律しなおしていたのではないかと、私は想像します。楽器全体を調整するのでさえ15分かそこらなわけですから、既に整っている状態からヴォルフの位置をずらすように5度音程を取り直すだけなら、さらに短い時間で可能だったはずです。
 
自分がちょっとひと手間かけさえすれば、理想的な音律で演奏できるのなら、バッハはそれを選んだのではないでしょうか。
 
バッハの死後、バッハはほとんど世の中から忘れ去られていた時代が有ります。これは、バッハが好んで使っていた音律と、当時の世の中の主流の音律とが、かなり異なっていたからではないか、とするならば、辻褄が合います。たとえば、モーツァルトはバッハの曲を編曲したりしていますが、現在の私たちからみると、モーツァルトの編曲の意図というのは理解しがたい部分があります。モーツァルトは中全音律をうまく使いこなす事に関して天才的な才能を発揮した人ですから、中全音律の長所を必ずしもうまく使いこなせていないバッハの作品は、モーツァルトの目には稚拙に見えたのだろうと想像できます。
 
 
というのが、バッハが使った音律についての現時点での私の見解です。

 古楽 チェンバロ


日付:2019年02月23日

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