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ショパン エチュード Op.10 No.3 「別れの曲」 (エキエル版)を古典音律で
https://www.youtube.com/watch?v=PN1Cb5Y9m_0
最初の第1曲目を平均律にすべきか、それともキルンベルガーにすべきか、それともラモーか、色々考えて、結局ラモーにしました。理由としては、流れ客の大半が最初の数分を聴いただけで他へ行ってしまうので、そこで他ではまず耳にすることのできないラモーを聴いてもらいたいな、と思った訳です。
そこで何もひっかからないか、むしろ平均律と違い過ぎて受け入れられないのであれば、それはそれでしょうがない。
面白いと思ってくれる人に聴いてもらえればいい、という割り切りです。
楽譜はエキエル版を使いました。パデレフスキ版と大きく異なる部分に慣れるのには時間がかかりましたが、今ではすっかりエキエル版になれてしまったので、パデレフスキ版を聴くと逆にびっくりします。
ラモーでこの曲を聴くと、響きの色彩感がとても豊かなので、エキエル版の方がむしろちょうど良いんですよね。一方、平均律だと、エキエル版は物足りない印象になってしまう。中間部が何をしたいのか見えてこない訳です。
パデレフスキ版の元になったミクリ版のミクリという人はショパンの直弟子ですが、ミクリ版が取りまとめられた1870年頃には、ピアノは平均律が多数派になっていたと考えられます。「もしショパンが生きていて平均律を使ったならば、きっとこうしただろう」というミクリさんならではの確信があって、そうしたんだろうと思うんですよね。
リストは古典音律の時代から平均律の時代まで長生きしましたが、そのなかでリストは、若い頃に作った超絶技巧曲を後年に何曲か編曲しなおしています。一般には、「難しすぎるから簡単にした」ととらえられていますが、1つには平均律に対応するための処置という側面もあったのではないかと思います。初期のリストの曲は厚い和音がしばしば出てきます。和音が綺麗に響く古典音律であれば厚い和音も気持ちよく演奏できますが、平均律ではそうはいきません。そこで音の数を減らして響きを整理したのだろう、と推測できる訳です。
古楽 ピアノ