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ベートーベン以前と以降

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学校のクラシック音楽で出てくる作曲者と言えば、だいたいバッハから始まってハイドン、モーツァルト、ベートーベンと来る。
 
しかし、音楽の歴史的には、音楽を「芸術」と定義したのはベートーベンなんですってね。それ以前の音楽は、「芸術」ではなかった。宗教音楽か、冠婚葬祭か、貴族の娯楽のためのものしか無かった。
 
ベートーベンは若い頃はモーツァルトの熱心なファンだったようですし、ハイドンの弟子だった時代もありましたから、ベートーベンを詳しく知ろうとすれば、モーツァルトやハイドンも勉強しなくてはならない。そういうつながりで、モーツァルトやハイドンは過大評価されているのかな、という気はします。あの時代の音楽について詳しく調べれば、モーツァルトやハイドンに負けないレベルの音楽家もたくさん居ただろうと思うんですが、「ベートーベン繋がりで贔屓されてるのか」という話で腑に落ちました。
 
バッハとの関連については、バッハの弟子だったキルンベルガーが書いた「純正作曲の技法」をベートーベンが勉強していて、ベートーベンの弟子の指導にも使っていたと言う話が知られています。
 
音律の観点から見ると、この辺が非常に興味深い話になってきます。
 
モーツァルトやハイドンは、中全音律の世界で活躍した音楽家でした。バッハも、教会で演奏していたオルガンは中全音律だったはずですがしかし、バッハが所有していたクラビコードやチェンバロに施されていた音律は、「調律を15分ほどで終わらせることが出来た」などという証言から、中全音律では無かったと考えられます。ではどんな音律だったか。平均律だと主張する人も多いですが、15分で平均律に調律する事も不可能なのです。それがキルンベルガー第1のようなシンプルな音律だった可能性について、よく検証してみる必要性はあると思いますね。
 
つまり、キルンベルガーの第1、第2、第3法は、キルンベルガーのオリジナルでは無く、バッハから教わったか、またはバッハがやっているのを見て覚えた音律だった可能性がある。ならば、キルンベルガーの音律ではなくバッハの音律と呼ぶべきなのかと言うと、それも元をたどればバッハのオリジナルでは無く、さらに古い時代の音楽家から引き継いだものだった可能性が高い。「著作権」などという概念が希薄だった時代の話ですし、音楽家や楽器職人には文盲の人も少なくなかったでしょうから、このへんの歴史的な経緯を調べるのには限界があるでしょう。
 
なぜキルンベルガーが「純正作曲の技法」という本を書いたり、当時の標準的な調律法とは異なる調律法を発表しなくてはならなかったのかという背景についても考察してみる価値があるかもしれません。というのも、キルンベルガーはバッハの書いた楽譜をたくさんコレクションしていて、現在私たちが知っているバッハの曲は、少なからずキルンベルガーのコレクションに由来しているからです。
 
キルンベルガーがコレクションしていたバッハの曲は、中全音律でも演奏できなくはないですが、中全音律では正直な所、あまり具合がよくありません。ハイドンやモーツァルトが実に巧みに中全音律を使いこなしているのと比べれば、中全音律の使いこなしという点ではバッハは負けているのです。実際、バッハは死後、一時期はほとんど忘れ去られた音楽家だったと言われています。なぜ? ・・・これは、バッハが生前に好んで使っていた音律と、当時の主流の音律が違っていたことに起因すると仮定すれば、すんなり理解できる話になってくると思うのです。
 
その状態から、再びバッハの音楽に光を当てるためには、音律から復興する必要があった。それがキルンベルガーの第1、第2、第3法。キルンベルガーの音律なくしては、バッハが現在のような地位を占めることは無かっただろうと思われる訳です。そこまで見通したうえでキルンベルガーが「純正作曲の技法」を書き、音律を発表したのだとすれば、キルンベルガーもすごい人だったんだなと思いますね。そしてその目論見は見事に成功し、現在につながっているわけです。
 
キルンベルガーの「純正作曲の技法」を勉強し、かつ、キルンベルガーの音律を実際に使って作曲し、音楽家として成功したのがベートーベン。奇しくもフランス革命の時期と重なり、中全音律が時代遅れとされ新しい時代の音楽が求められた時期に、キルンベルガーの音律とベートーベンの音楽が、うまくはまったんでしょうね。
ベートーベンは、モーツァルトやハイドンから影響を受けつつも、異なる音律を使う事で、モーツァルトやハイドンとは趣の異なる音楽世界を開拓することができたのです。
 
 
 

 古楽 ピアノ


日付:2019年10月05日

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