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ヴィオラ弾きの息子とよく話題にするのが、ヴィオラ弾きには高音型と低音型がいる、という話だ。といっても低音型のヴィオラ弾きは少数派に属すると思う。日本のヴィオラ弾きでは菅沼準二さんが低音型だろう。今井信子さんもそうかもしれない。
息子は中学3年の時、こちらでヴァイオリンを習った先生の影響でヴィオラに転向したのだが、この先生は菅沼さんの弟子で、これまた低音型のヴィオリストである。息子はこの先生の音色に惹かれてヴィオラの魅力にとりつかれたので、やはり低音型なのだ。入試前から習い、大学の2年までの担任だった先生は高音型だったので、息子にとってはそちらの先生はいろいろ役に立つことを教えてくれた大事な恩師だが、心情的な恩師はこちらのヴィオリストのようだ。デュプレが子供の時からの先生だったプリースをチェロ・ダディとして慕っていたのにどこか似ている。
高音型のヴィオリストは、ヴァイオリンを弾くことに抵抗が無く、場合によって持ち替えたりするが、低音型のヴィオリストはそもそも、頭の中で鳴っている音が低音側に偏っているらしく、ヴァイオリンを弾いてもヴィオラのような音を出すし、ヴァイオリンを演奏することに興味がない人が多い。
ほとんどすべてのヴィオリストはヴァイオリンから転向しているのだが、転向した理由がヴィオラの低音域の音色の魅力であった場合(たいがい、そういうヴィオリストの演奏に接している)、低音型のヴィオリストになるらしい。そうでなく、「たいがいのヴィオリストがヴィオラを弾くより俺の方がうまい」とか、「ヴィオラは易しい」「ヴィオラの方が仕事がある」とかの理由で転向した人は、ヴァイオリンと同じ奏法でヴィオラも弾けると思っているフシがあるし、高音型になるらしい。
低音型のヴィオリストは自分の身体の肉体的制限など無視して(体に悪くても)、大型のヴィオラを求めるが、高音型のヴィオリストはあまりこだわらないようだ。
アマチュアのヴィオラ弾きは、「カルテットの楽しみ」に、「彼はヴィオリストではない、暗い過去を持つヴァイオリニストである」とあるように、技術の問題でヴィオラに転向した人も、始めたのが遅くヴァイオリンでは無理と思ってヴィオラを選んだ人も多いようだが、それでもやはり、低音型の脳を持つヴィオラ弾きがたまにいるから、面白い。
チェロ ヴィオラ(ビオラ)