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今さらの平島達司著「ゼロ・ビートの再発見」

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平島達司著「ゼロ・ビートの再発見」という本が
アマゾンに古本があったのでポチって見た。
今ではプレミアがついて、1冊一万円もする本だ。
 
まだ半分ほどしか読んでいないが、この本は功績も
大きかったが、同じぐらい禍根も残したと思う。
 
まだ電子楽器がクラシック音楽の使用に耐える時代ではなかったので、しょうがないといえばそれまでだが、理論にばかり走って実践を伴わない音律理論を批判する一方で、今、電子楽器で自由に音律を変える事ができるようになった時代から見ると、平島先生の意見もまた、経験不足な偏った見解に見える。
 
まず、平均律やピタゴラスの長3度をこれでもかというほどこきおろす姿勢はいただけない。それが良いか悪いかは、どのような音楽を志すかによって変わる。
「平均律やピタゴラスの長3度はダメだが純正律の長3度はすばらしい」と、いくら力説してみたところで、「私はそうは思いません」という反論に対して何の説得力も持たない。目指す所が違うならば、そういう状況はあたりまえに起こりうる訳だが、その点について想像力が足りてない。
 
旋律を演奏するのにはピタゴラスが良いというのも、実践不足な意見に見える。たとえばプロのバイオリニストのソロの演奏の音程を正確に測ってみればすぐに解る事だが、彼らの音程は確かにピタゴラスっぽい傾向はあるものの、実際はもっともっと自由なのだ。それでいてけしてオンチに聞こえる事は無い。単旋律の感情表現が物理的な理論に制約されることなどあってたまるものか。
 
中全音律に関して、アーロンの原型についてのみ論じ、プレトリウスやシュニットガー、ラモーの中全音律についての説明を、著書の中で省略したのも大問題だ。それらについて詳細な、実践的な検討をする時間が無かったのだろうという想像もできるが、しかしその結果、日本における中全音律の理解は30年以上停滞することになってしまった。この罪は重い。
 
ヴェルクマイスター推し過ぎ。たしかにヴェルクマイスターは、上品さもあり表現力もあり優れた音律だが、当時多数あった音律の1つに過ぎない。「平均律クラヴィーア曲集に最も適するのはヴェルクマイスター音律だ」と力説する平島先生の主張は、表紙の模様が音律を示す事が間違いないとみられるようになった現在では、時代遅れのものになってしまった。

純正より広い五度の音楽的な価値について、全く理解が無いことにも驚かされる。音楽表現上の選択肢の1つとしてはアリだと私は思う。バイオリンのソロの周波数を実際に測ってみればすぐに解る事だ。そういうことをせず、想像で論じたために起こってしまう誤解。影響の大きさを思えばデマと断じてもいいぐらいだ。これも非常に大きな問題だ。
 

 古楽 チェンバロ


日付:2018年12月30日

1件のコメント

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このブログ(日記)へのコメント

小原 なお美

 忘れるほど前に購入しましたが、そんなに高くなっているのですね。
 びっくり。

2019年01月12日 12時39分06秒

1件のコメント

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