チェロきちさんのブログ（日記）〜クラシック音楽の総合コミュニティサイト Muse〜

ところで、昨夜のコンサートで一点学んだことがある。

自分が本当に心から愛している音楽を聴けるコンサートには
少し惹かれていて、うっすら憧れ始めているような相手（でも
色々考えすぎてしまい、結果としてこちらからは
デートにも誘えないような相手）とは、行かない方がいい、
ということ。

俵万智さんの和歌に、展覧会を見に行って、展示されている絵そのもの
よりも、絵のガラスケースに映る自分の顔ばかりを気にしていた、
というような作品があったが、まさにそれの音楽版今日の私。

自分の泣き顔などのリアクションが相手にどう映るか気になって
演奏に完全にのめりこむ事ができない。

でも曲はブラームスだし、目の前であんな演奏されたら
抗えずに感動の渦に引きずり込まれるのは必至。ただ、感動しつつも
隣の席にいる人のことも相当気になるので、感動からすぐに我に返る、
あるいは感動している自分を別の自分がどこか俯瞰で見ている、
という、実に中途半端に客観的な自分を発見して、イヤになった。
こらえきれずにじわーっと泣いてしまって、すぐに、はっ、いかんいかん、と
我に返り、隣席を気にする。さすがに隣席に視線を送って
確認したりはしないにしても、隣の席にいる存在を、知らず
知らずのうちに強く意識している自分に何度か気付く。

つまり、曲に入り込むことが完全にはできず、中途半端になっている
自分の状態に遅まきながら気付いたのだった。

感動しきれない、いや、すごく感動してるのに
我を忘れたり、一緒に行った人のことなどしばし忘れる、という
ところまでは、とうてい行けなかった。

これでは、ヨーヨーに対しても、
ブラームスに対しても、
そしてオケの皆さんに対しても失礼です。

それを深く自覚し、反省する夜となった。

　チェロ　ピアノ　室内楽　協奏曲　交響曲