『オペラ・チケットの値段』：XP太郎（XP太郎）さんのブログ：Muse クラシック音楽のコミュニティ

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『オペラ・チケットの値段』

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今日は、台風のおかげで散々な一日だった。ただ、時間つぶしに過ごした図書館で借りた本は、「眼からウロコ」ものだった。
　佐々木忠次さんという方が書いている日本のオペラ事情に精通しているひとの「新国告発書」といった趣きもある本であるが、何故に日本で「本物のオペラ」が定着しないのかという「裏・表事情」が書かれている。
　曰く、
『国の血税から出される新国立劇場の運営費は４５億、うち５人の役員給与約８千４百万円。１４４人の職員給与約１０億４千万円・・・、欧米のオペラハウスはどこでもそうだか、ベルリン・ドイツ・オペラにも専属のオケ、合唱団、バレエ団があり、それに加えて数多の裏方・スタッフを合わせて総勢８百４０名、それでも、年間予算は約７０億円である。・・・「箱もの」を国がつくり、その管理と役人の天下り職員給与だけは国が血税を使って保証し、肝心の興業面は貸しホールを使って、民間が勝手にやりなさいというのが、新国立劇場のコンセプトなのである。』
『新国立劇場の建物の外観や内観はヨーロッパでも屈指のオペラハウス、ベルリン・ドイツ・オペラとよく似ているといわれるが、劇場経営においては、比較するのもアホらしくなるほどだ。・・・　あるテレビ局の官僚の腐敗を特集した番組では「官僚三原則」を次のように紹介していた。①責任をとらない、②弱者を助けない、③コスト意識がない。この三原則はそっくりそのまま新国立劇場の運営の仕方にも当てはまる』と。

『いま日本のオペラ界が直面している危機は、（私が長年の努力をして実現させた英国ロイヤル・オペラやウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座の「引っ越し公演」の成功をみて）一部の金儲け第一主義のプロモーターに踊らされた企業が、バブル景気でもうけた金をつかって”冠コンサート”とやらをあちこちでやらかし、世界の音楽界・舞台芸術界に知れ渡った、法外なギャラを要求させる”日本相場”を作り出してしまった。・・・このような地上げ屋まがいのイヴェント屋やそれに与する「官」、そしてそこに寄生する（音楽）批評家たち・・・彼らは、表面ではオペラ・バレエを愛しているという態度をとりつつ、実際はそれを食い物にしていることにある。彼らを駆逐しなければ、日本のオペラやバレエに健やかな成長は望むべくもない・・・』

　「ふむふむ、その結果日本のオペラ・チケットも高くならざるを得ない」というわけですか。この方、東京バレエ団を創設し、世界的評価を得るまでに育てあげた方らしい。「知る人ぞ知る」という方なのであろうが、松戸のど田舎住まいの「台風のおかげで常磐線に乗りそこなうような」タダのクラシック愛好家の私なぞは、恥ずかしながら全く存じ上げなかった。

　「実情を知る」ということは「虚しさを味わう」ことにつながる。こういう方だから、回り周「敵だらけ」であろう。日本では鳩山民主党政権が誕生したので、「悪徳役人」を懲らしめる「黄門様」が出てくることを祈りたいものである。

　作曲家　チェロ

日付：2009年10月08日

5件のコメント

このブログ（日記）へのコメント

Shigeru Kan-no

同感ですねえ。日本のはオペラ・ハウスとはそもそも言わないですね。存続のオケや合唱団があって初めてそう名のるのですよ。あれはままごとの真似事ですね。

このまえWien国立歌劇場の立ち見のチケット調べましたら相当上がったといわれてもまだ3ユーロなのですね。なぜ立ち見が必要か？それは子供達は元気いっぱいなのですがお金を持っていないからです。聴衆の養成はどこでも子供達にターゲットを当てています。どこでも中年のおっさんにオペラは良いんですよ行って見なさいといっても馬の耳に念仏です。人は歳が行くと外国語みたいにもう手遅れなのですね。日本人も同じです。これだけは世界共通です。

鳩山さんはクラシックは趣味ではないと思いますからそういうのは無頓着だと思います。なかなか純ちゃん以上のオペラファンは出て来そうもありませんね。

この前日本に行って新国のチケットの値段見ましたら少なくとも数千円で、行こうという気が全くなくなりました。何を考えているのか？そんなにオペラを定着させたくないのか？

2009年10月08日 19時19分36秒

Ａｚ猫ロメ

私も少し読んでみたいですね。
二期会も今年からＤ席（？）が８千円の公演が出てきました。往復のＪＲ代を加えると９千円ですね。

2009年10月09日 09時17分59秒

Shigeru Kan-no

こちらのチケットは前売り券を買うとそのオペラの行き帰りの公共交通機関は一回に限りただです。公演4時間前から次の日の午前10時まで有効です。要は公演が終わってケルンに泊まって朝早く出ればただで帰ってこれるのです。ここからケルンは約100kmあり片道10ユーロほどですが、それで往復20ユーロそれで浮きますね。電車の車掌にはいつもオペラのチケットを見せるだけでOKです。汽車・地下鉄・バス全部に有効で何回乗り継いでもその方向に限り有効です。要するに公演前はオペラハウスの方向、公演後はオペラ方スに反対の方向ですね。公演の日時と場所がわかるのでその方向に限り一人一回だけは無料なのです。距離は周辺の地域に有効です。ここだとボンかケルンですね。さすがに130km離れたデュッセルドルフまではただではないですし汽車の特急券までは入ってないですが、チケットの最低料金が最低10ユーロなので交通機関のただ乗りは影響が大きいです。この方式は車で市内に来るのを防ぐためにあるのですね。最近はドイツのどこの都市でもやっています。このやりかたら若い人の聴衆を増やすとともに満席にするために非常に良い制度ですよ。そのほかサッカーや演劇・コンサートも同じような扱いになっています。往復は前売りだけに有効で、当日券は公演後の帰り道だけ有効です。

2009年10月09日 17時02分38秒

XP太郎

ドイツのスポーツ・文化政策は素晴らしいですね。見習うべきは見習う、そういう姿勢が日本のお役人にもあって欲しいものですが、「百年河清を待つ」という諺がありますからね。
　３５年前にインターネットがあったら、多分、今頃は、ドイツ女の尻に敷かれていたに違いありません。（日本男児は、ドイツ女にもてるのでしょうか？）

2009年10月10日 00時17分43秒

Shigeru Kan-no

背が小さいから特にそれはないですね。日本人の良いとこはなかなか老けないことでしょう。でも亭主関白したら終わりでしょう。

日本人は若さが長持ちしますね。ドイツの男性は二十歳で完全に禿げの人もあります。

2009年10月10日 01時09分03秒

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